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東日本大震災のがれき処理問題で、岩手県内で初めて東京都など県外自治体が受け入れを始めた宮古市。先月27日には鈴木英敬知事らががれき仮置き場を訪れ、木くずなどを粉砕する手順を視察した。三重の視察団に同行し、宮古市の現状や市民の思いを取材した。
鈴木知事らが訪れたのは、リアス式海岸が続く宮古市藤原地区。「津波の塩分を含んだがれきは注意が必要なんです」。岩手県廃棄物特別対策室の谷藤長利室長が、がれきの処理手順を説明した。
岩手県によると、宮古市内で発生したがれきは推計五十七万五千トン。同市の一般ごみ処理量の三十年分に相当する。岩手県全体では同十年分にあたる四百三十五万三千トンの震災がれきがあり、県はうち五十七万トンの広域処理を求めている。
岩手県のがれき処理に最も早く手を挙げたのは東京都。昨年十一月から始め、今年三月までに宮古市のがれき八千トンを処理した。四月には、宮古市と防災協定を結ぶ秋田県大仙市も処理に踏み出した。安全性を確保するため三重県と同様、がれきの放射性セシウム濃度を国の基準より厳しい一キロあたり一〇〇ベクレル以下に設定。毎回、搬出時に空間放射線量を測り、市ホームページで公開する。今のところ基準を超えたケースはない。
宮古市ではがれき処理で新たな雇用が生まれ、県外処理に消極的な意見もある。「宿泊客はがれき関係の業者がほとんど。正直、何年かかっても現地でやってほしい」。市内でホテルを営む男性(54)は声をひそめた。宮古市の建設業者(31)も「仕事は震災前より倍増した。現地でがれきを片付けたいという業者は多い」と明かす。
一方、仮置き場近くに住む漁業男性(63)は「がれきを見ると津波のことを思い出してつらい」と顔をしかめる。平地の少ない宮古市では、公共施設跡地などにがれき仮置き場が作られ、復興の足かせになっている。
谷藤室長が三重県の視察団に訴えた。「がれきが片付かないと復興に取りかかれない。一刻も早く処理するには全国の協力が必要なんです」県外処理に地元ジレンマ> 現地でがれきを片付けたいという業者は多い それを全国で支援しよう。
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2012-05-16(Wed) 21:00 ニュース
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