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    [20120529]
    02
    被告となったジャーナリスト田中稔氏。=7日、東京地裁前。写真:筆者撮影=


     またもやジャーナリストがSLAPP(※)をかけられた。しかも原発絡みだ。豊富な資金力にモノをいわせて財力のない個人を追い詰めるSLAPPは、札束で頬を叩くようにして地元を黙らせる原発と同じだ。
     政界の暗部に詳しい田中稔記者(52歳)が、『週刊金曜日』(2011年12月16日号)誌上に『最後の大物フィクサー、東電原発利権に食い込む』と題する記事を執筆、掲載した。

     記事の主人公はタイトルが示すごとく原子力関連施設の警備会社を設立し、政界とも太いパイプを持つ人物だ。原発利権をめぐる東電やゼネコンとの親密な関係を指摘している。

     掲載から3か月後、この人物は「記事は事実無根であり名誉棄損にあたる」として田中稔氏に6,698万円余りの損害賠償を求める訴訟を起こした。

     7日、東京地裁で第1回目の口頭弁論が開かれ、被告の田中稔氏は意見陳述をした――

     「この裁判は原発関連事業により巨額の利益を享受してきた者による、ジャーナリスト個人に対する明白な“原発スラップ”です…(中略)…これまでもフィクサーと報じられてきた調整役が原発関連事業に関して一体どのような働きをしたのか、その実態を調査報道することは、特に福島第一原発事故以降、公益性が極めて高い」

     「原発安全神話を振り撒いてきた原発コングロマリットの下支えをしてきたのが、こうしたフィクサーなのです。安全神話が全くの虚構であったことが白日の下にさらされた以上、腐敗構図の全容を明らかにすることが求められています…(後略)…」。陳述書を持つ田中稔氏の手は、怒りで小刻みに震えていた。

     フリージャーナリストの烏賀陽弘道氏は雑誌に掲載されたコメントをめぐってオリコンから5,000万円もの損害賠償を請求された(1審は敗訴、09年に2審で和解)。SLAPP訴訟の“先輩”にあたる烏賀陽氏は次のように語る――

     「今回の訴訟はSLAPPの定義にそのまま当てはまる、教科書のようなケースだ。精神的、金銭的、時間的負担で資力に乏しいフリー記者は仕事ができなくなる」

     「ところが日本の裁判制度にはSLAPPという概念すらない。裁判所はSLAPP訴訟の審理をまともに始めてしまう。米カリフォルニア州のように入口でSLAPPを阻止しなければならない」。

     訴訟の濫用は司法制度を揺るがすものだ。裁判官OBが原発メーカーに天下る国の司法に期待する方が無理というものかもしれないが。

    (※)
    SLAPP (Strategic Lawsuit Against Public Participation)の略

      ◇
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    原発利権追及した記者に6,700万円の損害賠償請求
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    2012-05-29(Tue) 00:00 ニュース | 編集 |
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